「相続のことは、誰に相談すればいいですか」。よく聞かれる質問です。
税金なら税理士、登記なら司法書士、争いなら弁護士。答えとしてはそうなります。ただ、200家族の話を聞いてきて感じるのは、多くの家族が困っているのは、そのもっと手前だということです。
「そもそも、うちの場合は何が問題なのかわからない」。この状態で専門家を探しても、何を聞けばいいかが決まりません。だから、相談の前に確認してほしいことが5つあります。
このサイトは一般的な参考情報を提供しています。個別の法律・税務判断は専門家(司法書士・税理士・弁護士等)にご相談ください。
①実家・不動産——名義と「行き先」を知っているか
実家の土地と建物が誰の名義になっているか。祖父母の名義のまま残っていないか。そして、その家を将来どうするつもりなのか——住む、貸す、売る、まだ決めていない。
名義は、法務局で確認できる事実。一方「行き先」は、家族それぞれの頭の中にしかありません。この二つがずれたままだと、手続きの話は進みません。
②親の意思——元気なうちに、聞けているか
親が財産や介護についてどう考えているか、聞いたことがあるか。エンディングノートや遺言書の有無を知っているか。
重い話にしなくて大丈夫です。「保険とか通帳って、どこにまとめてあるの」。その一言だけでも、入り口になります。判断能力が下がってからでは、聞けなくなる話です。
③家族の会話——兄弟と、一度でも話したか
介護の分担、実家の扱い、お金のこと。兄弟姉妹と一度でも言葉にして話したことがあるか。
「言わなくてもわかる」は、聞き書きの中でいちばん多く出てきた後悔の言葉でした。結論を出す必要はありません。お互いがどう思っているかを知っている。その状態を作ることが目的です。
④保険とお金——受取人と在りかを、把握しているか
生命保険の受取人が誰になっているか。古い契約のまま、今の家族関係と合わなくなっていないか。口座や証券が、どこに何があるか。
ここは「気持ち」ではなく「書類」の問題なので、確認すればすぐわかります。逆に言えば、確認しない限り誰にもわかりません。
⑤デジタル情報——スマホとオンライン口座を、家族が確認できるか
親のスマホのロック解除方法を、家族の誰かが知っているか。よく使うオンライン口座やサブスクの一覧を、把握しているか。
ここが確認されていないと、解約も相続手続きも、まず「開けない」ところで止まります。パスワードそのものを今すぐ共有する必要はありません。まずは一覧を紙に書き出すことから。
5つ確認してから相談すると、話が変わる
この5つを確認しておくと、専門家への相談は具体的になります。
- 名義が祖父の代のままだった → 相続登記の話として司法書士へ
- 親の意思が全く共有されていない → 遺言や家族信託を検討する前に、まず家族の会話
- 兄弟間の温度差が大きい → こじれる前に、中立の場での整理を検討
- 受取人が古いままだった → 保険会社への確認と変更手続き
- スマホやオンライン口座の一覧が家族に共有されていない → 家族に残す情報の整理を検討
「何もわからないので全部教えてください」と「名義がここで止まっているので、この手続きについて聞きたい」では、同じ相談料でも得られるものが違います。
5つの質問を、チェックの形にしました
この5つ——不動産、親の意思疎通、家族の会話、保険、デジタル情報——を、そのまま5つの質問にした「火種チェック」をこのサイトに置いています。所要は1分ほど。法律判断ではなく、わが家の「未確認」がどこにあるかを仕分けるためのものです。
相談は、それからでも遅くありません。まず、確認から始めてください。
