「うちは大丈夫だと思っていました」。
200家族の話を聞いてきて、いちばん多く聞いた言葉が、これです。揉めてしまった家族も、揉める寸前で踏みとどまった家族も、話の入り口はほとんど同じでした。
仲が悪かったわけではない。むしろ、仲がいいと思っていた。だからこそ、確認しなかった。
このサイトは一般的な参考情報を提供しています。個別の法律・税務判断は専門家(司法書士・税理士・弁護士等)にご相談ください。
「大丈夫」には、中身がないことが多い
「うちは大丈夫」と言うとき、その根拠を聞いてみると、多くの場合こうなります。
- 兄弟仲がいいから
- 財産がそんなにないから
- 親がまだ元気だから
- そのときになったら話せばいいから
どれも、気持ちとしてはよくわかる。ただ、これらは「確認した結果」ではありません。「確認していないから、問題が見えていない」という状態と、区別がつかないのです。
ある家では、兄弟全員が「実家は長男が継ぐ」と思っていました。ただ一人、長男本人を除いて。長男は転勤族で、実家に戻るつもりはなかったそうです。この食い違いが表に出たのは、親が亡くなった後でした。
揉める家族は、特別な家族ではなかった
話を聞いてきた家族の多くは、ごく普通の家でした。財産が特別多いわけでもない。仲が特別悪いわけでもない。
違いがあったとすれば、一つだけです。
家族それぞれが「当たり前」だと思っていることを、口に出して確認したことがあるかどうか。
「介護は近くに住む妹がやるのが自然」。「実家は売らないのが当然」。「財産の話は親から切り出すもの」。それぞれの「当たり前」は、それぞれの立場から見れば筋が通っています。ただ、突き合わせたことがない。相続は、その突き合わせを強制的に始めてしまう出来事です。
「大丈夫」を確かめる方法は、難しくない
大げさな家族会議は要りません。遺言書の話も、まだしなくていい。最初の一歩は、自分の中の「大丈夫」の中身を並べてみることです。
- 実家の名義が誰になっているか、知っているか
- 親が「万が一の話」を家族にしたことがあるか
- 兄弟と、介護や実家について話したことがあるか
- 「たぶんこうなる」と思っていることを、他の家族も同じように思っているか
最後の一つが、いちばん大事です。自分の頭の中の「たぶん」は、家族の頭の中の「たぶん」と、同じとは限りません。
確認は、疑うことではない
「確認する」と聞くと、家族を疑うようで気が引ける。そう話す方もいました。気持ちはわかります。
ただ、私が聞いてきた範囲では、逆でした。壊れてしまった家族は、疑ったから壊れたのではありません。確認しないまま、それぞれの「当たり前」を信じ続けたから、すれ違いに気づくのが遅れたのです。
元気なうちの確認は、疑いではなく、準備です。話せるうちに話しておく。それだけで、選べる道は広くなります。
まず、5つだけ
このサイトには、5つの質問だけの「火種チェック」を置いています。答えを出すためのものではない。あなたの家の「未確認」がどこにあるかを、静かに仕分けるためのものです。
「うちは大丈夫」。そう思っている今だからこそ、一度だけ、中身を確かめてみてください。
